鴻雁北(こうがん かえる)の5日間です (4/9-4/13)
二十四節気「清明」の次候が、七十二候の「鴻雁北(こうがん かえる)」です。
清明節の次候は「鴻雁北(こうがん かえる)」です。10月の寒露節にある「鴻雁来(こうがんきたる)」と対をなします。清明節の初候が「玄鳥至(つばめきたる)」ですから、ツバメと入れ替わるように雁が北へと渡っていくことを、昔の人は長年の観察によりわかっていたことが読み取れます。
雁は群れで行動するとき、V字編隊を組んで飛んでいきます。先頭の雁が作り出した乱気流を利用することで、後続の鳥は力を温存しながら飛ぶことができるそうです。その様子は「雁行(がんこう)」と名付けられています。ときおり甲高い声で「カーン、カーン」と鳴くので、思わず空を見上げて、その三角飛行に目を奪われた経験がある人も少なくないのでは。
昼間に活発に活動する雁は家族や仲間想いの鳥といわれ、傷ついた者の回復を待つ優しさを持ち合わせているんだそうです。それは編隊飛行するうえでも重要なことなので、自然とそうした連帯感や気遣いが生まれてくるのかもしれません。私たち人間も見習いたいことですね。
ところで、古い暦の七十二候ではこの時期のことを「田鼠化為鴽」(でんそかしてうずらとなる)と書いています。田鼠とはクマネズミ(民家の天井などに生息するネズミ)かモグラのことで、それがミフウズラというウズラになるという不思議な光景を描いています。ネズミやモグラがウズラになることはあり得ませんので、これは比喩表現です。
ミフウズラは一妻多夫制の鳥で、縄張り争いに際してもオスではなくメスが戦います。ボクシングで言えばオスはセコンド役です。かつての封建的社会では男性優位でしたが、その中にあってミフウズラを例として女性の強さや存在感の大きさを表そうとしたのかもしれません。あるいは、性別に関係なく、その活力をフルに使うことの意義が込められているようにも思えます。
天井裏に隠れて生きるネズミや、地下の穴倉で生活するモグラを東洋的に「陰」と表現すれば、ミフウズラは地表で活動するため「陽」とみなせます。春の陽気に後押しされた結果、「陽の力」=活動力や成長力がとても強まった状態を示しているとも考えることができそうです。
もちろん自然界のことは私たち人間にも関係していますから、ひっそりと縮こまっているだけでなく、今やれる範囲でクリエイティブなことをしたり、遊び方を工夫したり、仕事ができることに喜びをもったりと、陰の気を陽の気に変換する意識をもって過ごしていきたい時期です。
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