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「雀始巣」の時です (3/20-3/24)

二十四節気「春分」の初候が、七十二候の「雀始巣(すずめはじめてすくう)」です。

これまでの「啓蟄」の15日間と、「春分」からの15日間を合わせて「仲春」といいます。春の真ん中の時期です。そして、春分の初候が「雀始巣(すずめはじめてすくう)」です。

雀ほど人間に身近な鳥はいないかもしれません。カラスやハトほど大きくなく愛らしさもあります。その一方で、猛禽類や蛇などの外敵から身を守るためには人間の生活圏で生きるほうがいいということを、幾千万も子孫をつなぐ過程で学び、DNAに刻んできたしたたかな生態でもあります。

ところで、雀と同じく家屋に巣を作ることで知られる鳥としてはツバメがいます。中国から伝わった頃の暦には、今の時期のことを「玄鳥至(げんちょういたる)」と記しています。玄鳥とはツバメであるとかツルであるとか解釈されていますが、いずれにしても彼らが遥か遠くから飛来してくる様子を描いています。

通常は玄鳥=ツバメだと考えられていますが、中国語ではツバメは燕または家燕ですので、実際のところはわかりません。日本流にアレンジされた七十二候では、「春分」節ではなく次の「清明」節の初候が「玄鳥至」であり約2週間のずれがありますが、去っていく時期としては9月中旬、「白露」の頃でだいたい一緒です。

一方、たとえばナベヅルは鎌倉時代から「くろづる」の名で知られており、『和漢三才図会』(江戸時代に書かれた百科事典もの)では玄鶴つまり黒鶴をナベヅルとしています。ただし、日本への渡来は10月中頃、渡去は3月中旬~4月上旬とされ、暦の記述と逆です。この点から言えばツバメの可能性が高そうです。

なお、玄は黒色の意味ですが、宇宙のような奥深さや不思議さを表す言葉でもあります。日本語でも幽玄といったりしますね。この意味で考えると、玄鳥は実際の鳥を指すというよりは、私たち人間の精神が羽ばたくことを象徴しているのかもしれません。シンボル学における鳥は精神の象徴です。

夢解釈で鳥が出てきたら、それは鳥瞰的な視点から物事を眺めてみようとか、精神や認識の幅を広げてみようとの合図です。ときには飛躍し過ぎて空想に浮かれてませんかとの注意であったりもしますが、それでも型にとらわれない発想が前向きな気持ちを生み出すことはあるものです。

雀が巣を作り、ツバメが飛び回り、異種族である人間を利用しつつ共存するには、鳥と人がお互いに深入りし過ぎず適度な距離感を保たなくてはなりません。これを個人の内面に当てはめるなら、「精神と現実のバランスを図ることが大切だ」というメッセージになるのかもしれません。