NEWS

「啓蟄」の季節です(3/5-3/19)

二十四節気では、暖かさに誘われて地中から虫が出てくる「啓蟄(けいちつ)」の季節に入りました。

「啓」は開く意味で、「蟄」は(虫が土中や穴に)閉じこもる意味です。それなので啓蟄で「閉じこもった状態から扉を開けて出てくる」イメージになります。暦の言葉としては、地中に冬ごもりをしていた虫たちが春の訪れとともに這い出てくることを表しています。春雷に驚いた虫や蛇たちが飛び出してくるという説もあります。

人間でも蟄居(ちっきょ)といえば、家に閉じこもって生活することをいいます。歴史的には、武家階級において謹慎的な意味で使われていたこともあるようですが、そこから時代を下ると隠居生活をしている人が自らの生活を蟄居だと称することもありました。

閉じこもるというのは一見、自分個人の中に閉じていて社会から目を背けているように思われがちですが、必ずしもそうとばかりは言えません。現場から離れて直接的に関わることはなくなっても、多くの経験を生かしてアドバイザーとして裏から支える人もいます。

また、家に居ながらも時事ニュースを欠かさず得たり、これまでの人脈から社会や世界の動き聞いたりして大きな視野を持っている人もいます。そうした人が、たくさんの人たちにとって役に立つ情報を発信することだってできるのです。現代ならなおさらその機会は多いので、単純に自分に閉じこもっているように見えても、実際のところは表からはなかなかわからないものです。

「ひらく」意味の啓は啓蒙・啓発という形で使われます。啓蒙は近年では差別的だと言われることもあるのですが、どちらも「人を教え導く」ことであり、それによって相手の知的好奇心や自発的な学習意欲を高めたり、専門的なことに対する理解を促したりする意味があります。これがその人の自立や独立を助けることにもなることもあるはずです。

それから、日々の仕事に疲れて癒しを求めている人を慰めたり、一対一もしくは少人数でのセラピーやカウンセリングを行うというのも、この啓蟄がもつ意味と重なってきます。同じ悩み苦しみや痛み、時には喜びを共有しながら、一緒に難題を乗り越えていくこともあるでしょう。長くつらい年月を過ごす中で、ようやく気力を取り戻して社会復帰していく人もいるでしょう。そうした姿は、冬ごもりでじっと寒さに耐えていた虫たちが、いよいよ春の陽気の中へと顔を出す様子と似ていると思いませんか?

自然界を表現した啓蟄という表現が人間にも通じるのか疑問に思う方もいるかもしれませんが、二十四節気は太陽にそった暦であり、人間にも等しく関係しています。私たちもまた自然界の生き物なのですから。